狩猟

人を撃ってしまわないように、把握しておきたい散弾銃の飛距離

散弾銃の誤射による人身事故は、悲しいことに毎年発生しています。

事故の主な原因は、銃の取り扱い不注意による暴発、矢先の安全不確認、人と獲物の誤認発射があるのですが、猟銃等取扱読本の事故事例を読むと、どれも扱いに慎重になれば防げた事例が多い印象を受けます。

ちょっとした気の緩みや知識不足が大惨事を招く。

これから狩猟を始める方も、すでに始めている方も気を引き締めてゆきたいですね。

で、そんな事故を防ぐため必ず知っておきたいことがあります。

それは散弾銃の飛距離です。

今回の記事は、事故を防ぐための基礎知識として、散弾銃の飛距離について話してゆきたいと思います。

飛距離を把握しないとどうなるか

自分の銃から発射される弾丸がどれくらいの威力と射程範囲を持っているのか、これを把握しておかないと、どうなるかというと、

例えば、ある猟師がこの写真の赤丸の部分に獲物を見つけました。

こんな近くに獲物が来るのは中々ないので、

絶対討ち取りたい!千載一遇のチャンス!

その猟師は少し興奮しています。

でも今の位置からは、丘の先が盛り上がっていて見えません。

猟師は思いました。これくらいの距離なら丘の先で落ちるだろうから、撃っても大丈夫だ。

猟師は引き金を引きましたが、獲物には当たりませんでした。

弾丸はそのまま丘の後ろへ飛びました、弾丸は猟師の想像よりもはるかに強い威力を持っていたようです。

そして不幸にも、飛んで行ったその先には人がいました。

はい、この先はどうなるか分かりますね?

この猟師の悪かったところは2つあります。

一つは矢先の不確認、先が見えないところで銃を撃ったこと。

もう一つは自分の銃の威力を見誤ったこと。

これらが組み合わさって起こった事故になります。

こんなことは絶対に起こしたくないですよね?だからこそ散弾銃の飛距離を把握しておくことは重要なのです。

では具体的に弾丸がどれくらい飛ぶのか説明してゆきます。

最大飛距離は弾丸の号数によって決まる

最大飛距離は銃の口径で決まると思われますが、実はそれほど関係なく、使用される弾丸の号数で決まります。

12番の銃でも20番の銃でも、弾丸の号数が同じなら飛距離もほぼ同じになります。

下記に弾丸の種類による最大飛距離を一覧にしました。

これを参考に自分が使う弾丸の飛距離を把握しておきましょう。

弾丸の種類 最大飛距離[m]
散弾 ライフルドスラグ(12番) 700
OOB (直径8.6mm) 515
BB (直径4.5mm) 340
1号 (直径4.0mm) 315
2号 (直径3.75mm) 300
3号 (直径3.5mm) 290
4号 (直径3.25mm) 275
5号 (直径3.0mm) 265
6号 (直径2.75mm) 250
7号 (直径2.5mm) 240
7 1/2号 (直径2.41mm) 235
8号 (直径2.25mm) 225
9号 (直径2.0mm) 210
10号 (直径1.75mm) 195
ライフル弾 22ロングライフル (直径5.6mm) 1600
30カービン (直径7.62mm) 2200
30級ライフル 3200〜4000
空気銃弾 4.5〜5.5mm 310

至近距離でしか威力がでないイメージのある散弾銃でも、実は500m程度の飛距離を持っています。しかも散弾は離れれば離れるほど拡散してゆくので、その放射範囲は非常に広くなります。

ライフルに至っては最大で4000m近く飛距離があります。4000mも距離があると、もはや矢先は目視できないため、後述のバックストップを利用して撃つ必要があります。

事故を起こさないために

これだけ飛距離のある銃を安全に使用するためにはどのようなことに気をつければ良いでしょうか。

①バックストップを利用する。

バックストップとは、図のように切り立った土や丘など、弾がそれ以上飛ばないような壁の役割をする場所です。

このような場所なら、矢先に何があるか確実に分かるし、外しても土に当たるだけなので安全に射撃をすることができますね。

②先が見えないところで撃たない

下記の図は、先述の例と同様の状態ですね。この状態で獲物を撃ったらどうなるでしょうか。外したらそのまま弾は遥か彼方へ飛んで行ってしまいますね。

たとえ獲物に命中しても、銃の威力は非常に高く、大抵貫通してそのまま後方に飛んで行きます。

当てるから大丈夫なんて思わないように。

③遠くにあるからって射線上に人や民家がある方向に撃たない

最大射程は把握した、だからこの距離では絶対に弾は届かない、と確信しても、

矢先に人や民家が見えたら、撃つのは絶対にやめましょう。

人の感覚なんてものは当てになりません。

もしかしたら当たってしまうかもしれない、だからやめておこうと、常に最悪の状況を想定しておくことが大事です。

そういった心構えを怠って、油断する時に事故は起きるものです。

おわりに

事故は被害者も加害者も不幸にしてしまう、辛い出来事です。

ちょっとした油断が、一生の十字架を背負うことになりかねません。

銃所持者の責任として、自分の銃の威力についてしっかり把握し、常日頃から配慮を怠らないようにしましょう。