よし、狩猟を始めよう!と言っても何から始めればよいか全く分からない・・・
狩猟免許って何?鉄砲はどこで買うの?など、これからハンターになろうと思うと疑問が沢山出てくると思います。
そこで本記事ではハンターになるまでに必要なプロセスについて紹介します。迷ったらこの手順通りに進めてもらえればいいので、ぜひ最後まで読んでみてください。
ハンターになるまでの大まかな流れ
ハンターになるには狩猟免許が必要になります。また銃を使った狩猟をする場合は別途、銃砲所持許可を取得しなければならないので平行して取得手続きを進めてゆきましょう。以下に各免許をとるための大まかなステップを一覧にしました。
狩猟免許の取得
- 精神鑑定
- 狩猟免許予備講習会・狩猟免許試験申請
- 狩猟免許予備講習会受講
- 狩猟免許試験
- 狩猟免許取得
- ハンター保険加入
- 狩猟者登録申請
- 狩猟の開始
銃砲所持許可の取得
- 初心者講習申請
- 初心者講習受講
- 講習終了証明書の交付
- 精神鑑定
- 教習資格認定申請
- 教習資格認定書の交付
- 射撃教習申請
- 猟銃用火薬譲受許可証申請
- 射撃教習受講
- 教習修了証明書の交付
- ガンロッカーの手配
- 銃の手配
- 銃の譲渡承諾書の取得
- 銃砲所持許可申請
- 立入検査
- 銃砲所持許可の交付
- 銃の引取
- 警察署で銃の確認を受ける
- 銃の用途に狩猟を追加する
- 銃の使用開始
狩猟免許を取得する
狩猟免許には第一種銃猟免許(散弾銃・ライフル銃・空気銃)、第二種銃猟免許(空気銃のみ)、わな猟免許、網猟免許の4種類があります。自分のやりたい猟に合わせた免許を取得する必要があります。

精神鑑定を受ける
狩猟免許試験を受ける時は、統合失調症や そううつ病、てんかん、麻薬や覚せい剤の中毒者でないことの診断書を提出する必要があります。
診断書は精神保健指定医、又は精神保健指定医以外のかかりつけ医師に精神鑑定を受けることで発行することができます。
その際、各都道府県の狩猟免許試験のホームページに診断書の参考様式がアップされているので、それを印刷し受診しましょう。
既に銃砲所持許可を持っている場合、精神鑑定を受ける必要はありません。
狩猟免許予備講習会を受ける
狩猟免許予備講習会とは、各都道府県の猟友会が主催している狩猟免許試験の対策講習のことです。
狩猟免許を取るに当たって必ずしも受ける必要はないですが、試験合格するためには受けておくことをオススメします。
実際、試験にでる項目を具体的に教えてくれるので、それを覚えておくだけで合格することができます。
狩猟免許予備講習会の申し込みは住所地を管轄する役所で受け付けています。申請方法は地域によって違うため「自分の住んでいる地域 + 狩猟免許申請」で検索をかけて調べてみましょう。
狩猟免許試験を受ける
狩猟免許試験は知識試験・適性試験・技能試験の3種類が行われます。
知識試験は狩猟に関する法令や猟具の知識、管理方法などについて出題されます。問題は三択問題で出題され、正しい答えを選択する形式になっています。
前述の狩猟免許予備講習会に参加していれば、出題ポイントを知っているので、それだけ覚えておけば合格はできるでしょう。
適性試験は聴力・視力・運動能力を確認されます。
聴力は10メートルの距離で、90デシベルの警音器の音が聞こえる聴力、視力は銃猟の場合両目0.7以上、片目0.3以上、網猟またはわな猟の場合、両目0.5以上が求められます。
足りない場合、メガネや補聴器の使用しましょう。
運動能力は屈伸や歩行など、普段の生活ができているなら全く問題ありません。
技能試験は猟具の取り扱いについて実際に操作して、間違いがないかを確認されます。
銃を例にあげると、銃の運搬の仕方や射撃姿勢、分解組立などが試験されます。
ただ、技能試験の内容だけは家で練習がしにくい(特に分解組立なんかは)ので狩猟免許予備講習会で教わった動作をしっかりイメージトレーニングしておくことが大切です。
狩猟免許試験の申し込みも住所地を管轄する役所で受け付けています。二度手間になるので狩猟免許予備講習会の申請と同時に行っておきましょう。
狩猟免許を取得する
狩猟免許の合否は試験当日に発表されます。無事合格できれば狩猟免状がその場で渡されます。
ちなみに試験は正答率が70%以上あれば合格できるようです。と言っても正直非常に簡単な試験なので狩猟免許予備講習会に参加していれば、ほぼほぼ合格できると思います。
狩猟免許予備講習会〜本試験の様子をこちらにまとめたのでこの記事も一緒にどうぞ。
ハンター保険に加入する
ハンター保険とは狩猟中の事故(例えば人を撃ってしまった、他人の銃を壊してしまったなど)に適用される損害保険のことです。
狩猟をする場合、強制加入になります。
以前通常の損害賠償保険とかで代用にならないか、保険屋に問い合わせてみたのですが、狩猟における事故は対象外となるようで、専用のハンター保険に入るしか手はありませんでした。
保険料はプランにもよりますが大体年間数千円程度で、加入は後述の狩猟者登録のときに役所で行います。
免許取得後の保険更新は所属する猟友会を通じて行われることが多いです。
狩猟者登録をする
実は狩猟免許を取得しても、すぐには狩猟を始めることはできません。狩猟を実際に行う場所の都道府県に狩猟者登録をする必要があります。
例えば東京在住の人が長野県で狩猟を行う場合、長野県での狩猟者登録をする必要があります。
もちろん複数の都道府県で狩猟する場合はそれぞれ狩猟者登録をします。
狩猟の開始
以上が狩猟免許を取得するまでの全てです。これで晴れて狩猟を行うことができますが、銃猟をしたい方は後述のステップを並行して進める必要があります。
銃砲所持許可を取得する
銃砲所持許可は日本国内で銃を所持するために必要な許可証のことです。銃猟をする場合は狩猟免許とは別に持つ必要があります。

初心者講習を受ける
初心者講習とは銃の法令や取り扱い、構造など、銃を使用する上で必要な知識について学びます。
講習の最後には筆記試験が行われ、合格すれば次のステップに進むことができます。試験は狩猟免許の時と違って、ちゃんと予習をしておかないと普通に落ちますので猟銃等取扱読本を読み込んでから挑みましょう。
猟銃等取扱読本は住所地を管轄する警察署の生活安全課に初心者講習を申請するときにもらえます。
講習終了証明書を取得する
初心者講習の合否は当日中に発表され、無事合格した場合、講習終了証明書が渡されます。不合格になったら再度講習を受け直し試験に挑むことになります。
初心者講習の様子をこちらにまとめたのでこの記事も一緒にどうぞ。
精神鑑定を受ける
銃砲所持許可を取得する際も精神鑑定が必要です。狩猟免許の時と参考様式が別になっているため、住所地の警察のホームページか現地で確認するようにしましょう。
警察はどの医療機関で受診したか結構こだわります。私の猟師仲間にも、かかりつけ医で受診したときに印象が良くなかったという人がいました。
なので事前にどの医療機関で受診するか相談したほうが良いです。ちなみに私の場合は精神保健指定医で受診しましたが、特に何も言われなかったです。
長野県の参考様式にも「精神保健指定医で受診したか」という項目もあるので、そちらで受けておくほうが無難なのでしょう。
教習資格認定を申請する
教習資格認定では、射撃教習を受けるための資格があるかどうか警察が調査をします。射撃教習では実際に実銃を取り扱うため非常に厳密な審査が行われます。
警察官による面接や周辺住民への聞き込み調査、知り合いや親族への電話調査、過去の経歴や犯歴の調査などが行われます。ここで欠格事項があったり、不審な言質があれば即取り下げになってしまいます。
一応、電話調査は自分が調査相手を選べるため、信頼できない人への調査を避けることができますが、近所の人や同居人とは普段から関係を良好にしておくことが大切です。
調査内容は本人には伝えられないので細かい内容は不明ですが、調査を受けてもらった私の知人に聞いたところ「この人に銃をもたせても大丈夫だと保証できますか?」と聞かれたみたいです。
面接では銃を持とうと思った理由や、自身の性格、他人との関係は良好か、犯歴はあるか、などを聞かれました。証言にはしっかり裏取りを取られるので正直に答えるようにしましょう。
教習資格認定書を取得する
教習資格認定の申請をしてから大体1ヶ月くらいで警察から合否の連絡があります。無事認定が通れば射撃教習を受けることができます。
射撃教習申請
射撃教習は射撃場で行います。近隣の射撃場に連絡を取り教習射撃の予約を取りましょう。
この際、使用する弾の種類と個数を聞いておきましょう。(銃は何番の散弾銃で、弾は何号を何個使用するか)後述の猟銃用火薬譲受許可証申請のときに必要です。
猟銃用火薬譲受許可証申請
射撃教習では実弾を使用した教習を行います。そのため事前に警察から弾の譲受証を発行してもらいます。無許可では弾の使用はできませんからね。
猟銃用火薬譲受許可申請証には使用する弾の種類を記載する項目があるため、事前に射撃場から聞いておいた使用する弾の種類と個数を記入しましょう。
(ほとんどの場合、口径12番の7.5号弾か9号弾だと思われる。)
譲受許可証は射撃教習に使用しますので当日まで大切に保管しておきましょう。有効期限は発行から3ヶ月間です。過ぎてしまった場合、再度お金を払って発行しなければなりません。
射撃教習を受講する
射撃教習では銃の取り扱い方法や構え方をベテランの猟師がマンツーマン、もしくは少人数のグループで教えてくれます。
練習はトラップ射撃と言われる空中に飛ばされるクレーを撃ち落とす競技で行われ、最後には試験もあります。
練習と言っても回数は多くなく、私の場合は25発の練習後すぐに試験本番でした。教官に聞いたところ、試験は2〜3発あたれば合格になるそうです。(受講する射撃場によって異なります。)
クレーが落とせるかよりも銃の取扱(銃口を人に向けない、使用しないときに引き金に指をかけない、脱砲確認等)が適切に行われているかのほうが重視されるので、そちらをちゃんと意識するようにしましょう。
射撃教習の様子をこちらにまとめたのでこの記事も一緒にどうぞ。
教習修了証明書を取得する
教習射撃に無事合格すれば、その場で教習修了証明書が発行されます。有効期限は1年間ありますが、早めに銃砲所持許可申請を行うようにしましょう。
ガンロッカー・装弾ロッカーの手配
ここまでの手順でやっと銃の所持許可申請を出せるのですが、申請後に銃の保管庫の立入検査があります。
申請をしてからガンロッカーと装弾ロッカーを用意していると間に合わなくなってしまうので、この段階で手配を済ませてしまいましょう。
ガンロッカーは保管庫ならなんでも良いという訳ではなく、明確に基準が決まっています。
- 全ての部分が1mm以上の厚さの鋼板であること。
- 閂構造で施錠し、扉の上下を固定する構造であること
- 外部から見える蝶がねが破壊されても扉が開かないこと
- 内部に銃を固定できること
- 鍵は外部からの力によって容易に開錠できないこと
- 扉を閉鎖する鍵はかけ忘れ防止装置付きのものであること
- 鍵の種類は120種類以上であること
結構沢山ありますね。どれが基準を満たしているかよく分からないのであればスチールファクトリーのガンロッカーを買っとけば良いです。ガンロッカーはオプションの上下2箇所の南京錠取付金具も追加しておきましょう。
レビューはこちらにまとめたのでこの記事も一緒にどうぞ。
銃の手配 / 銃の譲渡承諾書の取得
これでついに自分の銃を選ぶ段階まできます。銃砲店に行き、自分の好きな銃を選びましょう。そして銃砲店に譲渡承諾書を用意してもらいましょう。これは銃1丁につき1枚必要です。
銃の選び方はこちらにまとめたのでこの記事も一緒にどうぞ。
銃砲所持許可申請をする
銃砲所持許可申請は正式に銃を持つことの許可を得るための申請になります。当然、申請をするだけでは許可がおりず、本人に銃をもたせても問題ないか警察が調査をします。
教習射撃申請でもありましたが同様の調査が行われます。周辺の人との関係は良好にしておきましょう。
同居人から「実は銃を持つことに賛成していない」ようなことを言われると確実に通らなくなります。
立入検査を受ける
銃砲所持許可時の調査では、銃の保管予定場所に警察官が立ち入り、調査を行います。ここで法律通りに保管庫が設置されているか、セキュリティに問題がないかを確認されます。
立入検査前に電話連絡が来て日程調整をするので突然来ることはありません、事前に準備万端にしておきましょう。
銃砲所持許可の交付
銃砲所持許可申請を行い、立入検査、身辺調査を終え、警察に問題なしと判断されれば無事、銃砲所持許可が与えられます。
大体申請から40日程すると警察から合否の電話連絡が来て、銃砲所持許可証を受け取るように指示が来ます。
これでようやく正式に銃砲所持許可証を手に入れることができます。
銃の引取
銃砲所持許可証受け取り後、銃を手配した銃砲店に行き、銃を引き取りにゆきましょう。この時銃砲所持許可証を忘れると引取ができないので注意です。

警察署で銃の確認を受ける
銃の引取が済み次第14日以内に警察に赴き、購入した銃の確認を行ってもらいましょう。
ここでは書類に記載された銃の情報(口径や銃身長、シリアルNo等)が実物と一致しているかを確認します。
警察に持ち込む時は銃砲所持許可証を確実に持ち、銃をケースに入れて持ち運ぶようにしましょうね。それを怠ると銃砲所持許可が取り消しになるので注意しましょう。
銃の用途に狩猟を追加する
渡された銃砲所持許可証の用途には「標的射撃」のみが記載されていると思います。狩猟を行う場合、用途に「狩猟」を追加しなければなりません。追加には狩猟免状が必要で、これを持って警察に追加申請をしましょう。
銃の使用開始
長かったですね。これでようやく銃の所持許可がおりたことになります。
ここまでで早くて大体7ヶ月、予定が合わなければ1年くらいはかかります。猟期開始が11月15日なので、猟をスムーズに始めるなら2月くらいから手続きを進めておきましょう。